帰国子女枠での中学受験はお得なのか

これから中国に赴任する友人に、この話題について質問されたのでここにも書いてみようと思います。

まずは帰国子女入試の説明から書いていくので、すぐに本題に入りたいひとは、目次の4「帰国子女枠での中学受験はお得なのか」から読んでね。

帰国子女枠とは何か

帰国子女枠または帰国生入試とは、学校が、海外から帰国した生徒(帰国生)を対象に設置した入試の形態のことです。

すべての学校が帰国子女枠を設けているわけではありません。帰国枠のない学校においては、帰国生も一般の受験生と同様に一般入試で受験することになります。特に中学受験においては、いわゆる御三家や、超トップ校の多くは帰国子女枠を設けていません。

ちなみに2021年時点で、帰国子女入試を設置している偏差値高めの学校でいうと、渋谷教育学園幕張中学校、渋谷教育学園渋谷中学校、慶應義塾大学湘南藤沢中等部、攻玉社中学校、洗足学園中学校、広尾学園中学校などがあります。

帰国子女枠の対象生徒 受験資格は?

海外在住期間の指定

実はこれについては各学校によって大きく異なります。気になる学校のウェブページを確認しましょう。印象としては海外滞在期間2年以上から、という学校がほとんどで、たまに1年でも良しとする学校もあるという感じです。

帰国後の日本滞在年数の指定

これも各学校によって大きく異なります。ただ 多くの学校は、受験時に 帰国後2年または3年以内の生徒を対象としています。多くの帰国子女受験が12月頃に行われることを考えると…

帰国後3年からOKの学校であれば、小学校3年生の12月頃〜中学入学までの間に帰国した (または帰国予定の)生徒が対象。

帰国後2年からOKの学校であれば、小学校4年生の12月頃〜中学入学までの間に帰国した (または帰国予定の)生徒が対象となります。

※なぜ「12月頃」と記載したかというと、帰国子女枠の受験が大体その辺りで行われるためです。

具体例

具体例を出すとこんな感じです。帰国後3年も経っていてもまた帰国子女と認定してもらえるなんてありがたいですね。

海外在住経験が1年以上あり、帰国後3年以内の帰国生。

広尾学園中学校

2019年4月1日以降国内の小学校へ編入(通学)し、直近の海外在留期間が継続して2年以上の者。(※2019年= つまり帰国後2年以内)

立教女学院

親子留学でも帰国子女扱いになるのか

親子留学など、親の仕事の都合でない海外滞在でも帰国子女扱いになるのでしょうか。これも学校によって異なるので各学校に電話して確認する必要があります。あえてこちらから話さなければばれないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、帰国子女受験の場合は、出願時に願書のほかにどの学校でもほぼ必ず必要になる書類があります。それがこちらです:

帰国子女入試での提出物
  • 海外在留証明書
  • 日本の成績通知表コピー(直近1年分)直前まで海外に住んでいる場合は不要
  • 海外成績通知表コピー(海外在籍校で帰国時に在籍していた学年のもの1年分)

この「海外在留証明書」というのが、受験生と保護者それぞれの海外在留期間・滞在国を書くだけの簡単な書類なのですが、ただ、赴任を命じた会社の印鑑をもらった上で提出する必要があるものになります。親子留学の場合、この書類をにより学校側が状況を知ることになります。

余談ですが、ちなみにこの「海外在留証明書」、会社に印鑑をもらう関係で(時間かかる)、出願ギリギリではなく余裕を持って取り寄せたほうがよいです。あと、もし海外の学校での成績表捨ててしまっていたりする場合には、海外で通学していた学校にメールをして早めに取り寄せておきましょう!

帰国子女枠での中学受験はお得なのか

一言。お得だと思います。どんな点でお得かについて説明していきます。

受験科目数でのメリット

通常中学受験の一般入試は4科目(国語 算数 理科 社会)がほとんですが、帰国子女入試の場合、学校によって大概以下のような措置が取られています。

・1科目受験(英語のみ)かなりレアケースですが…

・2科目受験(算数、国語または英語 選択) よくある

・3科目受験(算数、国語または英語 選択、作文) よくある

・4科目受験 一般入試と同じだが加点してくれる たまにある

倍率面でのメリット

いわずもがな帰国子女入試は帰国子女しか受験できないので受験者数が限られます。帰国子女入試を実施する学校はやはり帰国子女を積極的に採りたいという学校なので、倍率を押さえています。(過去の入試結果などを見ると一目瞭然です)

日程面でのメリット

帰国子女入試の受験日程は学校により大きく異なります。早い学校で11月頃から始まり、遅くとも一般入試と同じ2月初旬には完結します。多くの学校が12月~1月頃に受験日を設定しておりその日付も重複が少ない印象です。そのため一般入試と違って沢山の学校を受験することができます。また、帰国子女枠で良い結果が出なかったとしても、もし4科目の勉強をしている子であれば、2月の一般入試にも挑戦することができるのです。本当にありがたいですね。

結論

これまでに述べてきたとおりで、帰国子女枠での中学受験はとってもお得だというのが個人的な感想です。

ただね、入学後に頑張らなきゃいけないのは確かです。とくに1~3科で受験して入学した場合、理科・社会が他の生徒との学力に大きな差が出るわけですからね。そこを頑張れるなら、きっと大丈夫!

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